ドローン体験に来られる方は、最初少し緊張されていることが多いです。
「落としたらどうしよう」「操作が難しそうだな」
そんな表情が見えます。
けれどスティックに触れた瞬間から、空気は変わっていきます。その変化を私は何度も見てきました。
はじめて浮かせる瞬間
「では、ゆっくり上に上げてみましょう」
声をかけると、参加者の親指が慎重に動きます。
ふわりと浮かび上がった機体を前に、必ず笑みがこぼれます。
この一瞬に立ち会えることが、インストラクターを続ける理由のひとつになっています。
風に揺れるドローン
最初の数分はぎこちないものです。左右を間違えたり、急に高度を上げてしまったり。
それでも少しずつ、スティックの動きと機体の挙動が結びついていきます。
「前に進む」「止まる」「カメラを下に向ける」──そのたびに「できた」という声がもれます。
風に揺れながらも自分の意思で操れることに気づいたときの表情は、大人も子どもも変わりません。
空から見る日常
操作に慣れてくると、視線は自然とモニターに移ります。
見慣れた町並みが上から広がり、声があがります。
「家が小さい」「田んぼが模様みたい」
空撮の驚きは、やはり最初の体験にあります。
けれどそれは単なる“きれいな映像”ではなく、暮らしを見直すきっかけにもなっていると感じます。
教えることで学ぶ
指導をしていると、自分が初心者だった頃を思い出します。
最初に感じた怖さ。
「自分にもできる」と気づいた瞬間の高揚感。
誰かに教えることは、いつも自分の原点に立ち返ることでもあります。
同じ説明を繰り返しているようで、反応は人それぞれです。
慎重に進める方、思い切って高度を上げる方、映像に夢中になって操作を忘れる方。
その多様さに触れるたびに、ドローンは単なる道具ではなく、人を映す鏡のような存在だと思います。
「まずは飛ばしてみる」
体験を終えた方の多くが口にされるのは「楽しかった」「思ったより簡単だった」という言葉です。
もちろん、その裏には安全のためのルールや注意点があります。
それでも大切なのは「自分でも飛ばせた」という実感です。
その一歩が、資格を取る、機体を購入する、旅に持っていくといった次の行動につながっていきます。
入口に立ち会い、その瞬間を支えること。
それこそが教える側の醍醐味だと思います。
余韻として残るもの
体験が終わると、撮った映像を見返しながら「これ、自分が撮ったんですよね」と確認される方が多いです。
そう、自分で操って撮影した景色です。
空から見た日常の断片が、その人にとって新しい記憶になっていきます。